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後悔、先に立たず。先送りはやめましょう


 みなさん、こんにちは。「先日久しぶりにブログ更新したばかりなのに…。大雪でやることなく暇だからなのか?」と思った方、いい加減な更新頻度ですみません。今日は、私自身への戒めの意味でブログを書いていますが、試験まであと3か月の皆さんにも、是非自分の現況に置き換えて、与太話にお付き合い願えればと思います。

 昨日(日曜日)、学部3年時から大学院博士課程修了時までオーバードクター時代も含め11年間もの長きにわたり私の指導教官であった堀林巧・金沢大学名誉教授がご逝去されました。訃報を受けたのは今日の午前1時半頃でしたが、今もまだ現実のこととは受け止めきれていません。体調がすぐれないことは既に2年程前に聞かされていましたし、年明けすぐに、名古屋大学の准教授を務めている学部時代のゼミ同期から「余命1月」という連絡も受けていましたが(実際には、連絡を受けてからわずか2週間で訃報に接することになりました…)、先生の年齢(享年67です)ゆえ、仕事にかまけて、私の気持ちの中に「きっと、大丈夫だろう」という根拠のない安心感があったのは疑いようのない事実です。

 ただ、そうした要因を除いても、私の内面にある複雑な感情が、一度として病床にある先生を見舞うよう私自身を仕向けることがなかったことは正直に述べておかなければなりません。といっても、よくあるこじれた師弟関係というのとは全く別です。もちろん、11年間にも及ぶ関係ですから麗しき師弟関係なんかで済むわけありません。怒鳴り合いの喧嘩もありました。その結果、互いに何カ月も口を利かず、見かねた別の先生が時間をかけて少しずつもつれた糸をほどいていく、なんてこともありました(この点に関して、院卒で官僚になった学生と前職時代から多数接してきましたが、彼らが研究環境に対する不満を己の中にため込んだり、せいぜいtwitterに吐き出す程度の様子を見るにつけ、何とも言えない気持ちになります…)。このように、紆余曲折こそありましたが、最終的に私は経済学の博士号取得に至ったわけですから、先生には感謝しきりです。

 「そこまで世話になりながら、なんで闘病中の恩師に会いに、金沢へ行かなかったんだ?」という非難が至る所から聞こえてきそうですが、私の中に負い目があったのがいまにして思えば最大の理由かもしれません。大学で教鞭をとっているとはいえ、大学院修了後の私の本業はキャリア官僚を目指す学生の手助けであり、研究者ではありません。もちろん、自分の仕事に誇りはありますが、先生の期待に応えることができなかったという忸怩たる思いをいまだに引きずっているのは確かです。しかし、そんなどうでもよいプライドが、取り返しのつかない結果を招いてしまいました。きっと、時間が経過していくにつれ、後悔の念が増していくことでしょう。

研究者としての先生の業績については、これから多くの研究者が様々な媒体を通じて紹介することでしょうし、このブログに私が何がしかのことを書くのは、ブログの内容からして相応しくないと思うので差し控えます。ただ、11年もの長きに渡り師事してきた人間(おそらく、私が最も長期にわたり指導を受けてきた人間だと思います…)の眼から見て、晩年の3年間において精力的に研究成果を公表(単著2冊、訳書2冊)した姿勢は素直に「かっこいいオヤジ」だと認めたいと思います(正直言って、院生時代にそんな風に思ったことは一度もありませんでした…)。

 もう本日になってしまいましたが、火曜日に葬儀が行われます。「棺を塞いで事定まる」といいますが、私の中での先生像は当分定まりそうにありません。しかし、晩年に向かうにつれて、社会に積極的に問い続けてきた姿勢は、私も受け継いでいきたいと思います。もし、このブログを読んで、先生の研究成果に僅かでも興味を持った方には、次の2冊を紹介します。

・『自由市場資本主義の再形成と動揺―現代比較社会経済分析』(世界思想社(金沢大学人間社会研究叢書),2014年)

・『中東欧の資本主義と福祉システム ポスト社会主義からどこへ』(旬報社,2016年)

 手前味噌ですが、どちらの著書においても、私の院生時代の論文がちょっとだけど参考文献として使用されています。本について、言いたいこと、山ほどあったのに、もうそんな機会は永遠に失われてしまいました…。みなさんは、日に日に不安が増幅しているのでしょうが、くれぐれも私と同じ轍を踏まないように、目標に向かい邁進してください。

それでは、また。今日は大雪の街を眺めながら先生の著書を読むことにします。


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