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原因究明と犯人捜し


 みなさん、こんにちは。前回のブログは実家が台風で3日間停電し復旧した直後に書きましたが、内容が公務員試験とはほぼ無関係であるにもかかわらず、とても多くの方に閲覧いただき感謝しております。台風直撃から10日経過し、少なくとも実家周辺に関しては平常通りになっていますが、千葉県内はもとより、同じ区内にも少数ながらも依然停電の世帯が存在しています。被害に遭われた方、心よりお見舞い申し上げます。

 前回ブログでは被災直後の実家ならびに被災地では携帯ラジオ以外完全に情報網が遮断された状況を基に、私が感じたことを中心に書きました(最近、いろいろな人が「第1報が実家からのLINE」などと被災体験を書いていますが、中央区から若葉区に入った途端、スマホが圏外になり、先に実家に入っていた妹に送ったメールが未着だったりした経験からすると、「本当?」ときいてみたくもなります…)。その時の経験からか、私は今もなお、東電と熊谷・千葉市長のtwitterをこまめにチェックする習慣が続いています。私見ですが、両者には非常にお世話になったと感謝しています。

 ただし、こうした感想を言えるようになったのは、やはり先週水曜日以降です。正直、台風直撃直後の先週月・火は、前回ブログにも書いたように情報網が途絶した空間に日中いたのですから、この後期高齢者夫婦(ようするに両親です)が猛暑続きであるにもかかわらず冷房が使えない状況で生き延びるために、何があとどのくらい必要なのか考えるので一杯一杯でした。なので、夜自宅に戻りTVをつけると、津田沼駅前の大行列が映し出され「日本人の働き方改革は一体…?」などとピントはずれなコメントしている識者を見て、「ほんのちょっと離れたところで何が起きているのか想像もできないのか?」と憤っていました。

 いまでこそ落ち着いてきましたが、東電twitterは先日の3連休くらいまでは日を追うごとに荒れており、さらに東電の住民説明会においてクレームを言う地域住民の映像に対して、SNS上で民度の低さを論うコメントも目にし、比較的早期に(といっても3日目ですが…)停電から解放された私は複雑な気分でありました。ただ、幸いにというか、不思議なくらい私の実家の地区からのクレーム・暴言を目にすることはありませんでした。おそらくは、50%(ホントです!)を超える千葉市屈指の高齢化率を誇る地区なのでスマホなんか触ったこともない人が多いことに加え、一時避難している人も多かったからだと思います。

 巷では、東電をサンドバック状態にしているようですが、既に述べたように、私は東電と千葉市(正確に言えば熊谷市長)は最大限の対応をしていたものと評価できます。特に、市長は停電が長引きそうな地域を見越して、食料品等の移動販売車をピンポイントで手配してくれました。惜しむらくは、これをラジオでも頻繁に伝えてもらえれば…と思いました(私が気づいたのが遅かったため、両親にちゃんと伝えることができませんでした)。

 被災地ではiPhoneなんかただの箱と化します。「親が心配なら一緒に寝泊まりすべきだろ?」ということもある人に言われましたが、被災地にいたら情報はラジオだけなんですよ。だから、動ける人間が物資置いたら帰って、翌日また来る、というのがその時点では最善の方法でした(もちろん、なんとか携帯がつながっているところもあったようですが、若葉区でも特に実家周辺の場合、区の連絡所自体停電で閉鎖していましたから…)。

 前回ブログでは街路樹が根元から折れた写真を掲載しましたが、若葉区って点在する造成団地と団地の間に森林やゴルフ場(私の家の近くには京葉国際カントリークラブがあります)があり、折れた木が電線にもたれかかり切断、というのがあちこちで見られ、素人目にも復旧に時間がかかることは容易に想像できました(もちろん、当時は「老人夫婦、熱中症で死亡」という事態を阻止することで一杯一杯でしたが…)。

 ゆえに、私は、東電の作業が遅いなんて言うつもりは毛頭ありません。もし、東電を責めるのならば、それよりも先に千葉県の森林管理と道路事情を問わねばなりません。

 県全体のことは詳しくありませんので、出身地の千葉市に話を限定しますが、千葉市は森林のほとんどが若葉区と緑区にあります。市の面積自体が広大なので森林率はかなり低いですが、それでも4,800haあります(板橋区と豊島区を足した面積よりも広い!)。で、そのうち97%が私有林(公有林を加えたらほぼ100%!ようするに千葉市には国有林はちょびっとしかありません)で、人工林、天然林はほぼ半々であり、人工林の9割弱はスギです。さらに、人工林の約半数および天然林の30%が11齢級以上となっています。一般に、人工林の齢級構成のうち間伐・保育等を必要とするのは1~7齢級といわれていますが、スギを例にとると千葉市では標準伐期齢は45年とされています。齢級が高い=管理が杜撰、とは必ずしも言い切れませんが、千葉市では「人工林の大部分を占めるスギに非赤枯性溝腐病が蔓延し、また、放置竹林が拡大し、それらの被害が深刻な問題となっています」と認識されていることから、森林管理には問題があったと言えます。誤解しないでほしいのですが、別に千葉市に責任があると言っている訳ではありません。そもそも千葉市の森林の大多数は私有林ですし、問題の根深さを理解してほしいだけです。(数字はすべて「千葉市森林整備計画」より)

 さらに、道路だって千葉市から先の一般道は、ほぼすべて千葉市中心部を基点に放射線状に広がっているだけでなく、千葉駅前通りを除けば、幹線道路といいながらも狭隘なものばかりで今回のようにGSに車が殺到すると、バスが動かなくなります。しかも停電のため、信号機も多くが消えていました。写真は、実家のある団地メインストリートです。これみても、復旧作業が遅れるのも容易に想像できます。というか、私は「こんな状況で、よく事故起きないなあ」としばらくボーっと眺めていました。

 ゆえに、今回の被害拡大の原因追究したい人は、ちゃんと千葉県の抱える諸事情にまで目を向けるべきだと思います。東電ばかり責める人は、犯人捜しをしている気なのでしょうけれど、それこそイジメと同じことをしているのだと気付くべきでしょう(厚労省イジメも同じです)。一方で、声を荒げたり、SNS上で暴言を吐いたりする人に対して「被害者の甘えだ!支援する気になれない」と憤る人の気持ちもよくわかりますが、少なくとも、私は、往復のバス車内および停留所において、誰かに絡んだり怒ったりしている人を誰一人みませんでした。大多数の千葉県民は粛々と現実を受け入れていたものと思います。

 前回に続き、今回も教養区分受験生を激励あるいは煽りまくる内容から大きくかけ離れてしまいました。私は防災や地域問題の専門家ではありませんので、もう、この話はおしまいにします。しかし、みなさんも、やりたいこととか興味ある業務ばかりに目を向けず、きっかけはなんでもいいので、視野を広げてみる訓練をしてください。総合職を目指すのならば、どんな環境に置かれても、関心を見出せるようでないと、教養区分最終合格はおぼつかないし、仮に合格できても、官庁訪問で苦労します。

それでは、また。


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